2年ほど前に当店でお買い上げいただいたO様のカブ90。
半年ほど前に知り合いの方と105ccにボアアップされたとのことですが、最近気になる音がするとのこと。
私も音の確認と試走もさせていただきましたが、それほど酷くはなく様子見かな程度。
しかし、毎日乗っていると気になるようで、オーバーホールがてら4速化することになりました。
腰上からバラしていきまして、すぐに違和感が。
けっこうキズがはいっているんですよ。クレーターっぽいものもありますし・・・
シリンダーにも縦傷が。ちなみにキットはJUNのBV105ccキットです。WPC加工もしてありますんで、
耐久性は折り紙付き。組み方も間違いありませんし、オイル管理もOK。距離もそれほどです。
ただ、気になることがひとつ。
シリンダースリーブの外側に線キズがあります。これはもしや・・・
分解したケースを合わせてみると、上のケース合わせ面に段差がありますね。
向かって左のスタッドボルト挿入部付近も出っ張ってます。
センターガスケットがついた状態ですとシリンダーは入りますが、ギリギリなクリアランス。
センターガスケットなしでは干渉してしまいます。
まれにですが、製造誤差の関係でこのようなことがあります。基本的に腰上のみ作業のボアアップですと、
このような段差をリューターで削るのも難しいですよね。
おそらく熱膨張によってスリーブが外側に広がることができず、内側のボアがきつくなってクリアランスが狭くなったことにより
キズが入ってしまったんでしょうか。
対策としてリューターで段差をなくし、向かって左側の張り出しも少し削りました。
スタッド穴の強度も考えるとあまり削れません。
少し戻りますが、分解時の写真です。
クランクシャフトは、とても良い状態でした。コンロッド大端部のガタも新品とあまり変わりませんでしたので、
このまま再使用します。
クラッチ周りもオイル管理が良かったのでスラッジが少なく良い状態でした。
フルOHですので、すべてバラしまして、洗浄し、消耗部品の確認と交換部品を決めていきます。
基本的にガスケット類・ベアリング・オイルシールおよびOリングなどは全て新品に交換します。
あとはカムチェーン・ガイドローラー・テンショナーローラー・プッシュロッドヘッドなどもすべて交換です。
スプリング関係も基本すべて新品を使用します。
今回は某Mパーツのタイカブギア比一次側クラッチ用ミッションと純正50用4速ミッションパーツの
良いとこ取りで組みました。
Mパーツはお客様持ち込み、50用4速パーツは当店の常連さんより譲りうけました。
信頼性は少し劣りますが、すべて純正を使用するには、かなりの予算が必要となります。
ただし、すべてのパーツをMパーツで揃えるのは怖いので純正部品とのハイブリットとしました。
さて、うまくいくでしょうか。
エンジンが完成しましたので、車体に載せてエンジン始動。アイドリングをしながら、じっくりを熱をいれていきます。
今のところは良い感じ。試走しましたがOKです。4速はやはり快適ですね。